この記事でわかること
- マンスリーマンションで収入や勤務先の審査がほとんどない3つの理由
- 審査の代わりに運営側が確認していること(本人確認と利用目的)
- 必要書類・支払い方法・申込から入居までの流れ
- それでも申込を断られる3つのケース
- 利用目的欄の書き方と、スムーズに進めるための準備
「マンスリーマンションは審査なしって本当?」という疑問は、名古屋でマンスリーマンションを運営していると、申込前の方から受けることがあります。無職・フリーランス・外国籍・以前の賃貸で審査に落ちた経験がある、といった理由で、通常の賃貸を諦めてマンスリーマンションを調べ始める方もいます。
結論から言うと、通常の賃貸のような「収入・勤務先・保証会社」の審査は、マンスリーマンションではほとんどありません。私の物件でも保証会社の審査は使っていません。ただし「何も確認しない」わけではなく、本人確認と利用目的の確認は必ず行います。この記事では、審査がほとんどない理由と、代わりに何を見ているのかを運営者の立場から説明します。
2026年10月5日 更新:成年年齢の引き下げ(2022年4月)に合わせて、18歳・19歳の契約に関する記述を修正しました。あわせて、利用目的の確認や支払い方法を運営者としての実際の運用に合わせて書き直し、定期借家契約・愛知県暴力団排除条例・EMV 3-Dセキュアの記述と出典を追加しました。
収入や勤務先の審査がほとんどない3つの理由
マンスリーマンションの審査が通常の賃貸より緩いのは、運営会社の気前がいいからではありません。お金の払い方と契約の仕組みが、通常の賃貸とは違うからです。
理由①:滞在期間分を前払いするため、家賃滞納のリスクが小さい
通常の賃貸の審査で一番見られるのは「毎月の家賃を払い続けられるか」です。会社員でないと審査に通りにくいのは、このためです。
マンスリーマンションは、入居前に滞在期間分の費用をまとめて支払うのが原則です。1か月住むなら、入居前に1か月分を払います。運営側から見ると、入居後に家賃が払われないというリスクがほとんどありません。延長時の支払いや、退去時の損傷といったリスクは残りますが、通常の賃貸と比べればずっと小さいため、年収や勤務先を細かく調べる必要がないのです。
理由②:契約期間が終われば、原則そのまま退去になる
通常の賃貸で使われる「普通借家契約」は借主の権利が強く、問題のある入居者でも簡単には退去してもらえません。だから大家側は、入居前の審査を厳しくします。
マンスリーマンションの多くは「定期借家契約」(借地借家法38条)か、短期の「一時使用目的の賃貸借」(同法40条)で貸しています。定期借家契約は、書面で契約し、契約書とは別の書面で「更新がなく期間満了で終わる」ことを事前に説明すれば、期間が終わった時点で契約が終了します。さらに契約期間が1年未満なら、期間満了前の終了通知も不要です。1か月〜数か月の契約が中心のマンスリーマンションでは、満了日にそのまま退去となるため、「退去してもらえない」というリスクも小さくなります。
理由③:カード決済では、カード会社の与信が事実上のチェックになる
クレジットカードは、発行時にカード会社が利用者の支払能力を調べてから交付されます。割賦販売法で、カード会社には「包括支払可能見込額」の調査が義務づけられており、指定信用情報機関(CIC)の信用情報も確認されます。
つまりカード決済が通るということは、第三者の審査をすでに通っているということです。運営側が独自に信用調査をしなくても、前払いで代金を受け取れていて、カード会社の審査も通っている。これが「審査がない」ように見える仕組みの正体です。
審査の代わりに確認していること:本人確認と利用目的
ここが、ネット上の「審査なし」という情報で抜け落ちている部分です。収入は見なくても、「誰が」「何のために」住むのかは確認します。私の物件では、申込のたびに利用目的を必ず確認しています。理由は次の4つです。
- 又貸し・民泊への転用を防ぐため:契約者が借りた部屋を第三者に貸したり、宿泊施設として使ったりする申込を避けます。
- 犯罪への利用や反社会的勢力を防ぐため:特殊詐欺の拠点など、住まい以外の目的で使われることを防ぎます。
- 近隣トラブルを防ぐため:大人数で使う、騒ぐといった使い方は、同じ建物に住む方の迷惑になります。
- 目的が説明できない申込を見極めるため:「なぜ、この期間、この場所に住むのか」が説明できない申込は、上の3つのリスクが高いと判断しています。
なお、犯罪収益移転防止法で不動産業者に本人確認(取引時確認)が義務づけられているのは売買で、賃貸借は対象外です。一方、愛知県暴力団排除条例では、不動産を貸す人に対して、暴力団事務所として使われると知りながら契約しないこと、暴力団事務所として使わないことを契約で確認することなどを求めています。本人確認と利用目的の確認は、法律で一律に決まった手続きではなく、こうした条例と、建物に住む方を守るために運営側が行っているものです。
必要書類と申込から入居までの流れ

必要なものは身分証明書と緊急連絡先
| 必要なもの | 内容 |
|---|---|
| 身分証明書 | 運転免許証・マイナンバーカード・パスポート・在留カードのいずれか |
| 緊急連絡先 | 保証人ではなく、緊急時に連絡が取れる方の氏名と電話番号 |
| 利用目的 | 出張・研修・転職活動・リフォーム中の仮住まいなど、滞在の理由 |
通常の賃貸で求められる収入証明書・在職証明書・保証人の印鑑証明は、ほとんどの場合不要です。私の物件でも求めていません。
申込から入居までの流れ
- 申込フォームに、氏名・連絡先・滞在期間・利用目的を記入する
- 身分証明書の画像を送る
- 運営側が本人確認と利用目的を確認する(不明点があれば連絡が来ます)
- 滞在期間分の費用を支払う
- 鍵の受け渡し、またはスマートロックの解錠方法の案内を受ける
書類に不備がなく、空室があれば、短期間で入居まで進むこともあります。ただし、確認の連絡に返事がないと手続きが止まります。申込後は、運営側からの連絡に早めに返信してください。
支払い方法:私の物件の場合
私の物件では、決済代行サービスとしてGMOペイメントゲートウェイとハウスペイメントを導入しており、Visa・Mastercard・JCB・American Express・Diners Clubの5ブランドのクレジットカードが使えます。個人のお申込みは、クレジットカード決済のみとしています。カード決済が通ることを、本人の信用確認として使っているためです。銀行振込は、法人のお申込みに限って対応しています。
ハウスペイメントは賃貸住宅向けのカード決済サービスで、Visa・MastercardはSBペイメントサービス、JCB・American Express・Diners Clubはジェーシービーが加盟店契約を担当しています。カード情報は決済代行会社のシステムで処理されるため、運営側がカード番号を預かることはありません。
また、オンラインのカード決済では、なりすましを防ぐ本人認証「EMV 3-Dセキュア」の導入が、2025年3月末までに原則すべてのEC加盟店に求められました。カード決済の画面で、カード会社のワンタイムパスワードなどを求められることがあるのはこのためです。
通常の賃貸で断られた方でも申し込める

無職・フリーランス・収入が不安定な方
前払いが原則なので、職業や収入は判断の基準になりにくいです。退職後で次の仕事が決まっていない方や、フリーランスで月によって収入が変わる方でも、滞在の目的がはっきりしていれば申し込めます。転職活動のために1〜2か月だけ名古屋に住む、といった使い方もできます。
外国籍の方
私の物件では、パスポートか在留カードがあれば予約できます。保証会社の審査もありません。なお、在留期間が3か月以下の方や「短期滞在」の方には在留カードが交付されないため、パスポートで確認します。「短期滞在」で日本にいられるのは最長90日なので、それを超える期間の申込はできません。
過去に通常の賃貸で審査に落ちた方
通常の賃貸で使われる保証会社の審査を使わない物件なら、過去に保証会社の審査に落ちたことは直接影響しません。運営側が信用情報機関に照会することも、原則としてありません。ただし、カード決済そのものにはカード会社の与信が関わる点は理解しておいてください。
申込フォームの「利用目的」欄の書き方
利用目的欄は形式的な欄ではありません。運営側はここを読んで、上で説明した又貸し・犯罪利用・近隣トラブルのリスクを判断しています。特別な言い回しは不要ですが、「なぜ・いつまで・誰が住むのか」がわかる一文を書いてください。
| 状況 | 記入例 |
|---|---|
| 出張・研修 | 「名古屋支社での研修(10月〜11月)のため、本人が1人で滞在」 |
| 転勤・単身赴任 | 「名古屋への転勤に伴い、賃貸物件が決まるまでの仮住まい」 |
| 転職活動・離職中 | 「名古屋での転職活動期間中の一時居住」 |
| リフォーム・引越し前後 | 「自宅リフォーム期間中(約2か月)の一時滞在」 |
| 移住の検討 | 「名古屋への転居前に、1か月生活して住むエリアを検討するため」 |
「無職」「収入なし」といった情報を書く必要はありません。一方で、「一時利用」「住居として」のように、何のための滞在か読み取れない書き方だと、確認の連絡をすることになります。
それでも申込を断られる3つのケース
①利用目的が説明できない・曖昧なまま
確認の連絡をしても、滞在の理由や、誰が住むのかがはっきりしない場合は、お断りしています。やましいことがなくても、説明が曖昧だと判断できないためです。
②契約者以外が住む・宿泊施設として使う予定がある
「知人に使わせたい」「旅行者を泊めたい」といった、契約者以外の利用が前提の申込は受けていません。借りた部屋を無断で他人に使わせることは、契約違反になります(民法612条)。
③有効な身分証明書を出せない
審査が簡単な分、本人確認だけは省けません。有効期限が切れた身分証や、文字が読み取れない画像では確認できないため、申込前に有効期限を確認してください。
なお、2022年4月から成年年齢は18歳になっており、18歳・19歳の方は親の同意がなくても賃貸借契約を結べます。17歳以下の方は、親権者の同意か、親権者名義での契約が必要です。
手続きをスムーズに進める3つの準備

準備①:身分証明書をきれいに撮影しておく
ピントが合っていない、光が反射して文字が読めない、といった画像は再提出になります。明るい場所で、四隅まで写るように撮影しておくと、やり取りが1回減ります。
準備②:緊急連絡先の氏名と電話番号を確認しておく
緊急連絡先は保証人ではありません。家族や友人など、緊急時に連絡が取れる方であれば大丈夫です。申込フォームの記入中に番号がわからず止まってしまう方が多いので、事前に本人に伝えて番号を確認しておいてください。
準備③:利用目的を一文で説明できるようにしておく
上の記入例のように、「なぜ・いつまで・誰が」を一文にまとめておくと、確認の連絡なしで進むことが多くなります。会社の出張や研修なら、会社名や期間を書いておくとより確実です。

よくある質問
Q. 無職でも入居できますか?
A. 前払いが原則なので、職業や収入は判断の基準になりにくいです。ただし利用目的の確認はあるため、転職活動中など、滞在の理由を説明できるようにしておいてください。
Q. 保証人や保証会社は必要ですか?
A. 多くのマンスリーマンションでは保証人は不要で、私の物件でも保証会社の審査は使っていません。緊急連絡先の提供は求められますが、法的な保証人とは別のものです。
Q. 外国籍でも申し込めますか?
A. 私の物件では、パスポートか在留カードがあれば予約できます。英語・中国語でのお問い合わせは、メールで対応しています。
Q. 友人や家族を泊めることはできますか?
A. 私の物件では、契約者以外の宿泊は契約書の特約で原則禁止しています。事情がある場合は、必ず事前に相談してください。他の物件でも、契約者以外の宿泊には制限があることが多いため、契約前に確認してください。
Q. 申込を断られたらどうすればいいですか?
A. マンスリーマンションの入居判断は運営会社ごとに異なります。ただ、利用目的の説明が不十分だった場合は、別の物件でも同じ理由で断られる可能性があります。まず、滞在の理由と期間を具体的に伝え直してみてください。
まとめ
- マンスリーマンションでは、前払い・短期の契約・カード会社の与信という仕組みにより、収入や勤務先の審査はほとんどない
- その代わり、本人確認と利用目的の確認は必ずある。又貸し・犯罪利用・近隣トラブルを防ぐためのもの
- 必要なのは身分証明書・緊急連絡先・利用目的の3つ。保証人や収入証明は原則不要
- 断られるのは、目的が曖昧・契約者以外の利用が前提・身分証が出せない場合
- 18歳・19歳は単独で契約できる(2022年4月から)
審査がないことより、「利用目的をきちんと説明できるか」の方が大切です。一文で説明できるようにしておけば、手続きはスムーズに進みます。
参考資料・出典
- 借地借家法(e-Gov法令検索)第38条・第40条
- 定期建物賃貸借契約の成立要件(BUSINESS LAWYERS)
- 割賦販売法(後払分野)の概要・FAQ(経済産業省)
- 指定信用情報機関制度(CIC)
- 宅地建物取引業者における犯罪収益移転防止法の対応(国土交通省)
- 愛知県暴力団排除条例(愛知県警察)
- 成年年齢の引下げと不動産取引の注意点(東京都住宅政策本部)
- 在留資格「短期滞在」(出入国在留管理庁)
- 在留カードに関するQ&A(出入国在留管理庁)
- クレジットカード決済(ハウスペイメント)
- クレジットカード・セキュリティガイドライン改訂(経済産業省)


