この記事でわかること
- 家具付き短期賃貸の家賃に消費税がかかるケースとかからないケース
- 社員に住まわせるときの所得税の扱い(賃貸料相当額の50%ルール)
- 「契約者」と「入居者」をどう分けるか、法人の支払い方法
- 会社の予算に合わせた部屋の選び方
- 申込前に運営者と確認しておくこと(研修で使う場合を含む)
社員の出張・研修・転勤直後の住まいとして、家具家電付きの短期賃貸(マンスリーマンション)を会社で借りたい。そう考える総務・人事の方が最初に迷うのは、物件選びより「税金の扱い」と「誰の名義で契約するか」です。
結論から言うと、住宅として1か月以上貸す契約なら、家賃は消費税が非課税です。1か月未満の契約や、旅館業の施設(ウィークリーマンションなど)は課税されます。また、社員に住まわせる場合は、会社が契約者になり、社員から一定額以上の家賃を受け取れば給与として課税されないというルールがあります。この記事では、名古屋市の中村区・中区・千種区でマンスリーマンションを運営している私(名古屋マンスリー太郎)が、法人のお申込みで実際に確認していることと、担当者が押さえておくべき税務の要点をまとめます。
2026年10月14日 更新:以前の記事で「消費税は課税仕入れ」と書いていましたが、誤りでした。1か月以上の住宅の貸付けは非課税です(1か月未満・旅館業の施設・別に請求される光熱費などは課税)。国税庁の資料に基づいて書き直しました。あわせて、根拠のない利用事例・エリア別の家賃相場・ホテルとの比較の数字・一般的な法人審査書類の記述を削除し、社宅として貸す場合の所得税の扱いと、運営者として実際に確認している内容を追加しました。関連していた法人契約・社宅・研修の記事もこの記事にまとめています。
法人で家具付き短期賃貸を使う主な場面
家具家電が揃っていて、入居したその日から生活できるのが家具付き短期賃貸の特徴です。法人のお申込みでは、次のような使い方が中心です。
- 長期出張・プロジェクト:数か月単位で名古屋の取引先や現場に通う
- 研修:名古屋の本社・工場・研究機関での研修や、研究員・研修生の受け入れ
- 転勤直後の仮住まい:通常の賃貸が決まるまでのつなぎ
一方で、住民票を移して何年も住むような使い方には向きません。理由は後ほど説明します。
消費税:1か月以上の住宅の貸付けは非課税
国税庁のタックスアンサー(No.6226)では、住宅の貸付けは消費税が非課税とされています。ただし、次のものは非課税になりません。
| 内容 | 消費税 |
|---|---|
| 住宅として貸す契約で、貸付期間が1か月以上 | 非課税 |
| 貸付期間が1か月未満 | 課税 |
| 旅館業法の旅館業にあたる施設(ホテル・ウィークリーマンション等、民泊を含む) | 利用期間が1か月以上でも課税 |
| 住宅と一体で貸される家具・照明・冷暖房設備 | 住宅の貸付けに含まれ非課税 |
| 家具などを別の賃貸借として賃料を別に定めている場合 | 課税 |
| 家賃とは別に受け取る専有部分の電気・ガス・水道代 | 非課税の家賃に含まれない |
| 共益費 | 家賃に含まれる |
会社が社員の住まいとして借りて、社員に住まわせる形でも、契約で住宅として使うことが明らかなら非課税になると国税庁は示しています。
経理の方が確認すべき点は2つです。その契約が旅館業ではなく住宅の賃貸借か、そして契約期間が1か月以上かです。同じ「マンスリー」「短期賃貸」という名前でも、どちらに当たるかで扱いが変わります。見積もりの段階で、家賃・光熱費・清掃費などが別々の項目になっているかも確認しておくと、仕訳で迷いません。
なお、契約書や見積もりでは「賃料」ではなく「利用料」「サービス料」と書かれていることもあります。国税庁の判定基準には名称についての条件はなく、居住用の契約か、貸付期間が1か月以上か、旅館業に当たらないかで判断されます。名称だけで課税・非課税を決めず、契約の中身を確認してください。判断に迷う場合は、契約書を持って税理士か税務署に相談するのが確実です。
所得税:社員に住まわせるときの50%ルール
会社が借りた部屋に社員を住まわせる場合、会社が負担した家賃の扱いは、国税庁のタックスアンサー(No.2597)で決まっています。
社員から「賃貸料相当額」の50%以上を受け取れば給与課税されない
社員から1か月あたり「賃貸料相当額」の50%以上の家賃を受け取っていれば、給与として課税されません。賃貸料相当額は、次の合計です。
- その年度の建物の固定資産税の課税標準額 × 0.2%
- 12円 × 建物の総床面積(㎡)÷ 3.3㎡
- その年度の敷地の固定資産税の課税標準額 × 0.22%
この計算は、会社が他から借りて社員に貸す「借上げ社宅」でも同じです。そのため、貸主から固定資産税の課税標準額などを確認する必要があります。社宅として扱う予定があるなら、契約前に運営者へ相談してください。
給与として課税されるケース
- 社員に無償で住まわせる場合:賃貸料相当額が給与になります
- 賃貸料相当額の50%未満しか受け取っていない場合:その差額が給与になります
- 現金で支給する住宅手当や、社員本人が直接契約している部屋の家賃を会社が負担する場合:社宅の貸与とは認められず、給与として課税されます
3つ目が、名義を決めるときの一番大事な点です。社宅として扱いたいなら、会社が契約者になる必要があります。役員に住まわせる場合は計算方法が別に定められています(国税庁 No.2600)。
また、家具付きの部屋を社宅にする場合の家具の扱いについては、会社が社員に家具を貸した場合の経済的利益を、社宅の賃貸料相当額とは原則として分けて評価するという国税庁の質疑応答事例があります。どこまで当てはまるかは物件の契約内容によるため、顧問税理士に確認してください。
出張・研修の宿泊費として扱う場合
転勤や出張のための旅費のうち、通常必要と認められるものは非課税とされています(国税庁 No.2508)。短期の出張や研修の滞在費を旅費として扱うのか、社宅として扱うのかは、社内の旅費規程と滞在の実態によります。判断に迷う場合は税理士に確認してください。
契約者と入居者を分けて考える
法人のお申込みでは、契約者(会社)と実際に住む人(社員・研修生)が別になります。私の物件では、法人のお申込みでも、実際に住む方がどなたなのかを必ず確認しています。
| 項目 | 法人のお申込み | 個人のお申込み |
|---|---|---|
| 契約者 | 会社 | 本人 |
| 支払い方法(私の物件) | 銀行振込に対応 | クレジットカード決済のみ |
| 保証会社の審査(私の物件) | 使っていません | |
| 確認すること | 利用目的と、実際に住む方 | |
個人の方の場合、カード決済が通ることが支払能力の確認を兼ねています。銀行振込をお受けしているのは法人のお申込みだけです。
なお、契約者以外の方の宿泊は、契約書の特約で原則禁止しています。入居する社員のご家族が泊まりに来る予定などがある場合は、必ず事前にご相談ください。
会社の予算に合わせた部屋の選び方
私の物件で単身赴任の方の部屋選びを見ていると、一番の決め手は会社の予算です。そのうえで、多くの方が駅から選びます。
- 一番多いのは名古屋駅と栄の周辺です
- 次に多いのが、勤務先に近い駅です
- 地下鉄では、名城線より東山線沿線を選ぶ方が多いです
家賃は駅や間取り、時期によって大きく変わるため、この記事では金額を載せていません。エリア別の相場は名古屋のマンスリーマンション相場の記事で、データの出典とあわせて紹介しています。
予算を組むときは、月額の家賃だけでなく、見積もりに含まれる光熱費や清掃費などの項目と、途中解約した場合にかかる費用も含めて考えてください。研修やプロジェクトは、終わる時期が前後しやすいためです。
申込前に運営者と確認しておくこと
次の項目は、会社ごと・運営者ごとに違いが出やすいところです。私の物件での扱いもあわせて載せます。
| 確認すること | 私の物件の場合 |
|---|---|
| 利用目的 | 必ず確認します。出張・研修・転勤など、滞在の理由を教えてください |
| 実際に住む方の氏名 | 必ず確認します |
| 滞在期間 | 入居日と退去予定日を確認します。1か月以上かどうかは消費税の区分にも関わります |
| 途中解約 | 1か月以上前にご連絡いただければ日割りで精算します。1か月を切ってからのご連絡は、1か月分の料金がかかります |
| 契約者以外の宿泊 | 特約で原則禁止しています |
| 住民票・住所変更 | 住民票を移すことはできません。住所変更の届出もしないようお願いしています |
| 支払い方法 | 法人のお申込みは銀行振込に対応しています |
住民票を移せないため、入居する社員あての重要な書類は、会社や自宅の住所で受け取る段取りにしておくと安心です。住所変更の考え方はマンスリーマンションと住民票の記事もご覧ください。
お断りしているお申込み
法人のお申込みでも、次の場合はお断りしています。
- 利用目的が曖昧で、確認しても説明していただけない
- 又貸しや民泊など、住む以外の目的で使う
- 反社会的勢力に関わる
- 大人数での利用など、騒音で近隣に迷惑がかかるおそれがある
「社員が住む」ことがはっきりしていれば、確認はすぐに終わります。確認の内容はマンスリーマンションの審査の記事で詳しく説明しています。
研修・研究員の受け入れで使う場合
研修での利用は、ホテルと違って洗濯機やキッチンがあり、数か月の滞在でも生活のリズムを保ちやすいのが利点です。大学や研究機関で数か月受け入れる研究員・研修生の住まいとしても使えます。担当者の方は、次の点を先に決めておくと手配が早く進みます。
- 入居者ごとの氏名と期間の一覧:研修生ごとに開始日・終了日がずれることが多いため、一覧にしておくと空室の確認がしやすくなります
- 研修期間が1か月未満になるかどうか:1か月未満の契約は消費税が課税になります
- 延長・短縮の可能性:研修が延びると同じ部屋を使い続けられるかは空室次第です。短縮した場合は、上の途中解約のルールがかかります
- 入居者が交代する可能性:住む方が変わる場合は、事前に運営者へ相談が必要です。契約者以外の宿泊は原則できないため、無断で交代することはできません
複数名を同じ建物にそろえたい場合は、その時期の空室次第になります。人数と時期が決まった段階で、早めにご相談ください。

よくある質問
Q. マンスリーマンションの家賃に消費税はかかりますか?
A. 住宅として貸す契約で、期間が1か月以上なら非課税です。1か月未満の契約や、旅館業にあたる施設(ウィークリーマンションなど)は課税されます。家賃とは別に請求される光熱費なども、非課税の家賃には含まれません(国税庁 No.6226)。
Q. 社員の名義で契約して、会社が家賃を負担してもよいですか?
A. その場合は社宅の貸与とは認められず、会社の負担分は給与として課税されます(国税庁 No.2597)。社宅として扱いたい場合は、会社が契約者になってください。
Q. 法人でも支払いはクレジットカードですか?
A. 私の物件では、法人のお申込みは銀行振込に対応しています。クレジットカード決済のみとしているのは個人のお申込みです。
Q. 研修が予定より早く終わったらどうなりますか?
A. 私の物件では、退去の1か月以上前にご連絡いただければ日割りで精算します。1か月を切ってからのご連絡では、1か月分の料金がかかります。
Q. 入居する社員の家族が泊まりに来てもよいですか?
A. 契約者以外の宿泊は、契約書の特約で原則禁止しています。事情がある場合は、必ず事前にご相談ください。
Q. 社員の住民票を移せますか?
A. 私の物件では住民票を移すことはできず、住所変更の届出もしないようお願いしています。住民票を移して長く住む必要がある場合は、通常の賃貸を検討してください。
まとめ
- 住宅として1か月以上貸す契約なら、家賃は消費税が非課税。1か月未満・旅館業の施設・別に請求される光熱費などは課税
- 社宅として扱うなら会社が契約者になり、社員から賃貸料相当額の50%以上を受け取る。社員が直接契約した部屋の家賃を会社が負担すると給与課税
- 部屋選びは会社の予算が一番の決め手。相場は駅と間取りで変わるため、相場の記事で確認する
- 申込前に、利用目的・入居者・期間・途中解約・宿泊ルール・住民票の扱いを運営者と確認する
- 研修では、入居者ごとの期間と、延長・短縮・交代の可能性を先に整理しておく
税務の扱いは会社の規程や滞在の実態によって変わります。この記事は国税庁の公表資料をもとにした一般的な説明なので、最終的な処理は顧問税理士に確認してください。
参考資料・出典
- No.6226 住宅の貸付け(国税庁)
- No.2597 使用人に社宅や寮などを貸したとき(国税庁)
- No.2600 役員に社宅などを貸したとき(国税庁)
- 社員に家具等を貸与した場合の経済的利益(国税庁 質疑応答事例)
- No.2508 給与所得となるもの(国税庁)


